姿勢という事について
姿勢とは、見た目の形のことではありません
勢いの姿と書く通り、「姿勢とは、勢いが形に表れたものです。」
形にこだわっていて、目に見えない「勢い」というものを感じる事ができないと、無理に背筋を伸ばしていたり、胸を張っている人を姿勢が良いと思うかもしれません。
もし、それを無理にしていたり、気張ってやっているのだとしたら、その人には勢いはないと言えるでしょう。
虚勢も勢いの一つだとは言えますが、それは整体的には良い姿勢とは言えません。
腰の低い人
日本語には腰の低い人という言葉があります。
言葉だけを考えると、形としての見た目の腰が低い人と考えそうですが、意味としては「雰囲気」や「勢い」が謙虚な人のことです。
(この雰囲気や、勢いのことを別の言い方で「氣」といいます)
腰が低い人というのは、謙虚で威張らず、受け入れる力があるように感じます。
腰が低いという言葉だけを聞くと弱々しい人というイメージを持ってしまいがちですが、腰が低い人というのは、「次にどのようにでも自由に動けるような勢い」を私は感じます。
腰が低い人になるには、膝の柔らかさが必要です。
膝が硬く突っ張っていては、身体全体も突っ張ってしまい、謙虚さや受け入れる力がなくなってしまいます。
膝を柔らかく、腰を低くするには、腰の柔軟さも必要です。
ちょっと考えてみると、膝を柔らかく、腰を低くするこの姿勢は野球の守備や、テニスのリターンを待っている姿勢と似ています。
いずれも、どんな球が来ても対処しやすいためにこの姿勢を取ります。
別の見方をすると、獲物を捕らえようとする動物の姿勢にも似てないとも言えません。
つまり、膝を柔らかくして、腰を低くしている人は、「積極的に受け入れる準備をしている」と言えるでしょう。
そして受け入れたらそれに対して最適な行動を起こそうという「勢い」を感じます。
一見いい姿勢のようですが
反対に膝を突っ張って、胸を張っている人を考えてみます。
そういう人は、ぱっと見は良い姿勢に見えるかもしれません。
でも膝が伸びているままでは、動く事はできません。一旦緩ませないと動く事はできないと思います。
胸を張っていては、上半身が力むため、首の動きも悪くなり、視野が狭くなります。
こう書くと、膝を突っ張って、胸を張っているのは良い姿勢とはとても言えませんね。
なにかテンパっている人や、虚勢を張っている人の姿勢と言えるでしょう。
モデル歩きなどでは、こういう人が多いと思います。
モデルさんの歩き方は、腰が「カックンカックン」動き、身体が「ピョコピョコ」上下するので、私にはどうしても美しいとは感じられません。
意識してやっている場合は良いのですが、「無意識にこういう姿勢になっている人」もいます。
そういう人は、何か虚勢を張り続けなければならない事があったのだろうか、がんばり過ぎているのだろうか、と整体的にはこういう見方をします。
勢いの姿を感じる
姿勢が良いとは、「柔らかく、伸び伸びしていて、力の停滞がないこと」です。
本来人間には、そういう雰囲気や勢いを感じる能力があるのですが、自分が鈍くなってしまうと、形だけにこだわってしまいがちになります。
最近ではないようですが、昔は学校で、姿勢が悪いと言われて背中に定規を当てられたりしたものです。
なにかとても嫌な感じがしたのを覚えています。
それぞれの姿勢には意味があります。
形そのものでなく、勢いの現れとしての形を感じることができれば、 何故その姿勢をしているのか分かるようになるかもしれません。
いつまでも、「勢いの姿」を感じれるように柔軟な心身を保っていきたいものです。