足を組むから歪む?
足を組むから身体が歪むと思っている人が多いようですが、歪んでいるから、足を組みたくなるのです。
「足を組むのは、身体の要求」です。無理に矯正する前にちょっと考えてみましょう。
脚をクロスさせて立つ理由
立っている時に右足を後ろにクロスさせるように立っている人がいます。
右の腰にしっかりと力が入らないからこういう立ち方をするのですが、そういう人は座ると右足を上に乗せて組みたくなります。なぜそのように立つのかというと、右の足と腰にしっかりと力が入らないので後ろにクロスさせて捩ることによって力を中心に持ってこようとしているのです。
普段しっかりと力が入らないものを、「無理に力ませているので、疲れやすい」のです。
椅子に座るなどしてリラックスすると休めたくなるので、より疲れている足を上に乗せて組む事で休ませたくなります。休ませたいから上に組むのですから、椅子に座ってても何か集中する時、身体を乗り出すような時には、右腰を後ろに引くように身体を捩らせて、右腰を力ませていると思います。
ここで注目して欲しい事は、「しっかりと力が入る」と、「力ませている」は別だという事です。
「しっかりと力が入る」とは充実感があり、芯がしっかりしている感覚です。
「力ませている」はしっかりとしていないから無理に力を入れているということです。
原因はもっと前の段階に
足を組むから歪むのではなくて、「歪んでいるから足を組みたくなる」のです。
原因はもっと前にあります。
足を組む事を原因にするのは少し問題があるのではないかと思います。
上の例のように、右の足腰にしっかりと力が入らないのは、右の脇腹が伸びが悪いからです。
そういう人は、肝臓に負担をかけているのではないかと疑う事ができます。
甘いものを食べ過ぎていないか、お酒やタバコを飲み過ぎていないか、スナック菓子など添加物のたくさん入ったものを食べ過ぎていないか、疑ってみるといいと思います。
いつも同じ足を組む人は、そういう身体の使い方の癖があるという事ですので、それを修正するように「生活を見直す」ことが重要だと考えます。
悪いのは歪みの固定化
歪むということ自体は悪い事ではありません。
悪いのは、「歪みが固定化する」事です。
人が動く時は、身体を歪ませながら動くのですから、大きく歪ませる事ができるという事は、それだけ大きく動けるという事です。
問題は、リラックスした時に、歪みが元に戻らず、固定化してしまう事です。
本当は全身の筋肉が緩めば、骨格は自然と一番いい位置に治まるのです。
足を組む事によって休まるのであれば、それは良い事だと思います。
組むから歪むのであれば、常に真っすぐにしていなければいけないということになってきます。
そのように「心を固くする方が、歪み(歪みの固定化)の原因になる」と私は考えます。
私の整体を受けに来る人も、歪んでいる人より、妙に背骨が真っすぐな人が多いです。
無理に真っすぐにして頭では満足していても、歪みの原因となる要因(生活態度など)は取り除かれていないので身体の方は悲鳴を上げています。
そして、限界がきて、ぎっくり腰や痛みが出てくるのです。
そういう人は、まず全身を緩ませます。
緩んでくると、不思議な事に背骨の歪みが表に出てきます。
そこで、ああこの人はこういう問題を抱えているのだ、とわかります。
緩んでくると、今まで疲れていたのだという事や、こういう事をした時に不調になる(例えば、食べ過ぎ、目の使いすぎ、冷やした時)ということが自分で分かるようになります。
その自分で分かるということが重要で、それが分かると無理をしなくなるので大きく身体を壊す事をしなくなります。
また、自分の限界が分かるようになるので、反対にどれだけ無理をしても良いかも分かってきます。
身体の労り方を見直す
少し話がそれましたが、「足を組む事」を歪みの原因にして、無理にいつもと反対に組むなど強引なことをするよりは、自分の生活を見直すことの方が、大切だということです。
自分の健康の責任は自分にあるのですから。
とまあ、偉そうな事を書きましたが、不摂生をして調子が悪くなっても「じゃんじゃん整体を受けに来て下さい。」
整体を受ける過程でわかることもたくさんあります。
そういうことをだんだんと分かってもらうようになることが、整体師の私の仕事でもありますから。